2009年10月18日日曜日

料理を斜めから

「彫刻の定義は、360度の視点で鑑賞可能な造形物としての塑像、彫像」
大学時代に受講した講義のなかで習った覚えがあります。
 
壁にかかった彫刻は後ろから見えないのでレリーフになるし、
マルセル・デュシャンの自転車の車輪だって、この定義に従えばレディメイド彫刻と呼ばれておかしくありません。なるほど。オノ・ヨーコの腐敗していく青リンゴも納得がいきます。
 
もっと飛躍して考えると、お皿に盛られた料理も彫刻と呼べるのかなって思ったりします。
ギャラリーに見立てたお皿の上で、食材を切る、刻む(彫刻的)焼く、煮込む(素材の加工)型に流す、盛り付ける(塑像的)といった作業を経て料理という彫刻として展示される、なんていうと過剰でしょうか。
 
でも、彫刻をつくるとき、
木に対して鉄、布地に対してプラスチックなど素材同士の関係の良し悪しを判断します。
料理でも、秋刀魚に対して大根おろし、トマトに対してバジルみたいな相性の良さを必ず考えますね。
軟らかい・硬い、温かい・冷たい、こってり・さっぱり、赤・緑など抽象的な感覚の使い方がとても似通っていると思います。
 
味覚は美意識と通じてるし、視覚は味覚に影響します。
食と美術という先入観を取り除くと、案外似た物同士な気がします。
 
食べられない彫刻がほとんどですが。
 
ポジティブな勘違いです。

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